建設工事の請負契約に関する義務①

建設業法では、建設工事の請負契約は書面によらなければならないと規定されています。

書面による契約

請負契約は、民法の規定によれば両当事者の合意によって成立する諾成契約とされており、口頭でも有効に成立します。
しかし、それでは内容が不明確・不正確で紛争の原因ともなりかねないので、建設業法では、建設工事の請負契約は書面によらなければならないと規定されています。
また、契約については、工事施工前に結ぶ必要があります。

書面に記載しなければならない事項

建設業法では、次の①~⑭の事項を書面に記載し、署名又は記名押印して相互に交付しなければならないと規定されています。
なお、相手方の承諾があれば、書面の交付に代えて、電子メール等の電子的な手段により契約することもできます。
① 工事内容
② 請負代金の額
③ 工事着手の時期及び工事完成の時期
④ 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
⑤ 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
⑥ 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
⑦ 価格等の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
⑧ 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
⑨ 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
⑩ 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
⑪ 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
⑫ 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
⑬ 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
⑭ 契約に関する紛争の解決方法

契約の内容

中央建設業審議会で「公共工事標準請負約款」や「民間工事標準請負約款」を定めていますので、トラブルを避けるためにも、できる限りこれに従って公正な契約を締結するようにしてください。
この様式は、こちら(国土交通省のホームページ)からダウンロードすることができます。