いわゆる「人工出し」は、建設工事の請負契約とはみなされません。
単に職人を現場に派遣することは、請負に該当しないばかりか、「労働者派遣」に当たり、建設工事に労働者を派遣することを禁止している「労働者派遣法」に抵触する恐れがありますので十分注意が必要です。
建設現場での業務は派遣禁止!
建設現場で行われる作業に直接従事する業務に、労働者派遣を行うこと及び受け入れることは禁止されています。
労働者派遣が禁止されている建設業務とは、「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの準備の作業に係る業務」と定められています。
その理由としては、現実に重層的な下請関係の下に業務処理が行われている中で、建設労働者の雇用の改善等に関する法律により、労働者を雇用する者と指揮命令する者が一致する請負という形態となるよう雇用関係の明確化、雇用管理の近代化等の雇用改善を図るための措置が講じられており、労働者派遣事業という新たな労働力需給調整システムを導入することは、建設労働者の雇用改善を図る上で、かえって悪影響を及ぼすこととなり適当ではないからとされています。
建設現場で労働者派遣OKの業務
建設業の現場においていわゆる労働者派遣違反にならずに労働者を派遣することができる業務もあります。
例えば、現場事務所の事務員、CADオペレータ、施工管理業務(工程管理・品質管理・安全管理など)がそれに該当します。
労働者派遣法違反の例
A建設業者が、自社の従業員を発注者Bの建設現場に従業員を送り込み、Bの現場監督者の指揮命令のもとに仕事をした場合は「労働者派遣」とみなされます。
建設工事への労働者派遣は法律で禁止されており、労働者派遣法又は職業安定法違反として罰則(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)が適用されることになります。
ただし、現場での指揮命令や裁量権をもって施工していれば、1人工いくら、といったいわゆる常傭(常用)契約で工事を請け負っていても、建設工事の請負に当たります。
裏を返せば、契約上は請負となっていても、自社の従業員を、他社の指揮命令や裁量権の下で建設業務させることは、労働者派遣に該当し、労働者派遣法違反となります。
しかし、いくら指揮命令や裁量権が自社にあっても、そのことが契約書など書面上わからなければ、建設業許可申請の証明資料として認められる可能性は低くなるでしょう。